よくある吃音改善法はウソ?!現・吃音者が失敗に終わった吃音改善

記事更新日: 2019/06/06

ライター: じゅり

吃音の人あるある

・「サ行」や「ア行」など、言いづらい行がある

・言いたいことがあるのに言葉が出しにくい音だと発するのを諦める

・言いたいことがあるのに言葉が出しにくい音だと「あれ何だっけ~?」と知らないフリをしてごまかす

・言いにくい音のときは、違う言葉に変換して話す

・複数人で集まる時は聞く側に徹する

・二人きりでの会話は結構スムーズに話せる

・大勢の前で発表する場はとてつもなく緊張する

・自分の名前が言いづらい

・会社での電話対応が苦手

・どもって相手に笑われたら、こちらも笑ってごまかす

・どもりがなかったら人生もっと楽しめてたのにって思う

・自分に自信がない

・周りの人が冗談でどもったりすることが全く笑えない

・なぜか歌を歌ってるときは平気。だからカラオケが大好き

私には吃音があります。

上記は、普段の日常生活の中で私が感じていることです。

 

まず始めにみなさんにお伝えしておきたいのが、インターネットでよく見る吃音の改善方法は改善できません。

 

吃音は医学的に改善方法は見つかっておらず、私は他に何か改善できる方法はないかと約15年ぐらいかけてインターネットや家の近所に改善する教室がないか探し、色々な改善方法を試してきました。しかし、まだ吃音は改善できていないです。

インターネットでは科学的にこうすると良いとか発声方法をやってみようとか書かれているんですけど、いざ実践しようとするとそっちばかり意識してしまって全然改善できなかったんです。

今も吃音が出るときはありますが、あることをきっかけに吃音だということを意識しないで生活ができるようになってきました。

 

これから吃音の改善方法に向けて行動しようとしている方に、私がこれまで体験して失敗してきた改善方法や、失敗を重ねたからこそ言える吃音改善への導き方をお伝えできればと思います。

 

 

私が吃音であると自覚したきっかけ

私が吃音であると自覚したきっかけが小学校3年生の時の父親の転勤による引っ越しでした。

引っ越しにより小学校を転校し、すでにコミュニティが出来上がっているクラス環境へと飛び込むことになりました。転校初日はほとんど誰にも話しかけられず、クラスメイトに話しかけられたとしても環境になじめず緊張していて、そっけない返答をしてしまっていました。

小学生の頃の私は、今より体重が10kg太っていたり、アトピーにより顔がひどかった時代でした。子供の時って、外見だけでいじめにあったり、無視したりしますよね。

 

私はまさにそのいじめの対象となりました。

 

いじめと言っても激しいいじめはなく、コソコソと私の見た目をいじっては笑いあったり、横並びにしている机を少し離されたりと、危害を加えないいじめでした。

その時は精神的に辛くて、学校も行きたくないと思っていた暗黒時代。たぶんこのころからメンタル面でやられてしまい、吃音が訪れました。

 

あるとき生徒みんなの前に立って、どんな内容だったかは忘れましたが何かを発表をする時間がありました。言葉を発しようとしたとき、頭の中ではこれから発する言葉が何なのかはもちろん理解していましたが、いざ声を発しようとするとなかなか声が出ず、無理やり声を出そうとすると「あっあっあっ・・・」と同じ音を連発してやっと出せるようになりました。

私が発表をしている中、周りの生徒たちは大爆笑。私は何とも言えない感覚と、恥ずかしさを実感しました。

それからというもの、日常会話でも吃音が出てしまい、また生徒たちからの大爆笑。しまいには私の吃音をマネする生徒まで出てくる始末。

デブ・アトピー・吃音というトリプルパンチはさらなるいじめの対象となりました。

今でこそこうやって普通に話せますが、あのときは消えてなくなりたいと思っていたピークの時代でした。

 

こんなに言葉が出なくなったのは何かの病気なのか?!と思った私は、ケータイでこの症状について色々検索しました。そのときに自分は「吃音」であるということを初めて知ったのです。

デブやアトピーはすぐには対処できないけど、吃音ならすぐに治せるのでは?と思った私は、ここから約15年間にわたる吃音改善生活をスタートさせました。

私が体験して失敗に終わった吃音改善内容

約15年間という長い期間を使って吃音改善の方法を色々試しましたが、ほとんど失敗に終わっています。なぜなら私は現在も吃音の症状は治っていないからです。

インターネットで調べると吃音改善の方法は色々出てきて、その中の改善方法をほとんど試しましたが、治ったためしは全くありませんでした。

私のように吃音改善方法を色々探している方のためにも失敗はしてほしくないので、この方法は全く治らなかったという方法をお伝えしていきます。

 

言語矯正

吃音だと自覚した小学校3年生の頃、私はすぐに改善に向けて行動に移しました。

家の近くに言語矯正の教室なるものがあり、体験や見学もできるということだったので父親に自分が吃音であることを話し、言語矯正の教室に行ってみたいと言ったら一緒に付いてきてくれるということになったので父と一緒に見学をしに行きました。

その場所まで行ってみるとビルの一角に教室がありました。教室の中に入ってみると大きい丸机があり、その丸机の周りを数人の生徒さんが囲っていました。

言語矯正の教室で行うプログラム内容としては、全員に教科書が配られ、そこには物語が書いてあってそれを一人が読んで、区切りの良いところで次の人にどんどん回して読んでいくというだけの内容でした。

こんなの、国語の授業のときにやった音読と一緒です。(笑)

もちろん全く効果はなかったし、入会しようとも思わなかったので、体験だけで終了しました。

 

吃音改善用の教材を購入

私が18歳ぐらいのときにmixiというSNSが流行し、そこで元・吃音経験者で今は改善しているという方と繋がりました。

今思えば怪しいなと分かりますが、そのときは早く吃音を治したいという気持ちしかなかったので、その方にメッセージ上で色々話を聞いてもらっていました。

数日後その方から、吃音改善した体験を吃音で悩んでる人に伝えたいから改善のための教材を作ったというメッセージがきました。元・吃音経験者が今は改善しているなら私にもできるんじゃないかと思い、すぐにその教材を購入しました。値段的には3万円ぐらいだったと記憶しています。

教材の内容は、脳科学的な見解や、普通の人と吃音の人の声の出し方の違いが書いてあり、普通の人に近づけるための発声練習方法などが書かれていて、その他にも電話での悩み相談やmixiのメッセージ上でのフォローなどもしてくれました。

約1年間、教材をもとに実践してみましたが、発声練習の方に意識が集中してしまい周りの人と会話してても変なしゃべり方になってしまったり、会話の内容自体にも集中できず、効果も全く見られませんでした。

 

元・吃音持ちだった方によるセッション

20代前半の頃、インターネット検索をしていたら元吃音持ちだった方が一人ひとりに合ったプログラムを組んでセッションをしている場があることを知ったので、そこに行ってみることにしました。

初回は無料で行ってくれ、2回目以降は1回1万円の費用がかかり、私はそのセッションに約2年間通いました。

その場所に行ってみると、部屋の一室に全身鏡と椅子が2つ置いてあり、対面同士でセッションを行うというものでした。

セッション内容は、吃音の人は話すときに全身に力が入ってしまい、そこから吃音が発生するので脱力しながら発声するというやり方や、全身に力が入ることで、吃音が出てしまった自分を周りの人に見られたくないからと猫背になりがちな人が多いので姿勢の整え方など、体の面でのアプローチが多かったような気がします。

1回1回のセッションはとても勉強になり、確かに声を発するときに力が入ってるなーとか、猫背になってるなーと感じることはあって、脱力を意識したり姿勢に気を付けたり、そのときは頑張って実践していました。しかしやはり、吃音改善用の教材を購入したときと同じで、発声や姿勢に意識が向いていると肝心の会話の内容をちゃんと聞けなかったり、不自然な喋り方になってしまったりと、その方法を行うことに疲れてしまいました。

吃音であることを気にしなくなったきっかけ

自分が吃音であることは親以外に誰も言っておらず精神的にかなり苦しかったので、この苦しみを誰かに聞いてもらおうとカウンセラーの方に話を聞いてもらうことにしました。

そのときは直接会って話を聞いてもらう対面式のカウンセリングではなく、自宅にいながらでもオンライン上で話を聞いてもらえるオンラインカウンセリングを受けてみました。カウンセラーの方は私の悩みや苦しみに対してあるアドバイスで返答して下さいました。

吃音を気にしなくなり、改善へと導く方法

オンライン上でカウンセラーの方に吃音の悩みや苦しみを聞いてもらった際、カウンセラーの方はある3つのアドバイスをくれました。

そのアドバイスをきっかけに私は1年かけてその方法を実践していき、吃音の改善はしないものの、吃音ということに対して気にすることが無くなりました。

気にすることがなくなるだけでも精神的に楽になり、まいっかという考え方に変わったので、これでも大きな進歩だと思いました。

 

自分が信用してる人に吃音だということをカミングアウトする

これまで親にしか吃音であることを話さなかった私が、他の人にカミングアウトするのはとても勇気がいりましたが、これからも継続して仲良くしていきたい・信頼をおいている方50人ぐらいを個別にお誘いして自分が吃音であることをカミングアウトしました。

 

50人の方の反応はというと

「全然気づかなかった!!」

「誰にも話せなくて辛かったね。」

「じゅりはじゅりだから、これからも変わらずよろしくね。」

と、全員が温かい言葉をかけてくれたのです。

 

その瞬間、私の中にあった闇の部分が開けて、そこから光が差したような気持ちになりました。

自分の中に抱え込まず、誰かに話を聞いてもらえるだけでも気持ちはスッキリします。

 

息を吐いた後に話始める

吃音を持ってる方は、

「ちゃんと喋らなきゃ」

「どもったら恥ずかしいから早く会話を終わらせたい」

という気持ちからか、呼吸が通常の呼吸ではなくなり、息を吐くよりも吸う割合の方が多くなる傾向があります。

話始める前に息を吐くことで自然と息を吸うことができ、スムーズに声を出すことができます。会社などで電話に出る際にも、息を吐いてから受話器を取って話始めるというのも有効です。

 

会話してる相手の目を見て話す

私は10年間ほど介護士として働いていました。

介護士の一日は何かと忙しく、何か作業をしながら他の介護士さんに引き継ぎをしたり、会話をすることがほとんどでした。

何か作業をしながらだとそっちの方に目がいっているので、直接相手の顔を見て話しをするということもありませんでした。お互いが相手の目を見て話しをすることができる環境なら、声だけでなく相手の口の動きや相手の表情を見て話しの内容を理解することができますが、相手の目を見ないで話すと、相手の声だけで会話の内容を理解しなければなりません。そうすると声だけで相手に伝えなきゃいけないという意識になり吃音が出てきてしまいます。

また、お互いが相手の目を見て話せる環境なのに、吃音を見られたくないという意識から話すときに自然と相手の目を見ないで話してしまうという方も多いそうです。相手の方はしっかりと話を聞いてくれているので、目をみて会話をすることを意識して行ってみると良いかと思います。

オンラインカウンセリングの詳細はこちら>

さいごに

私が実体験をもとにシェアしたいことをお伝えしてきました。

正直、脳科学的に見てどうのこうの、声の発声の仕方や姿勢がどうのこうのと言われても、頭では理解できますが、実際に体験するとそっちばかりに意識がいってしまい、本来の目的である、相手に何か伝えるという行為がおろそかになってしまっていました。

技術的な面よりもまずは息を吐くことで話す体勢を作り、吃音という意識をいったん受け入れて周りの人にカミングアウトし、そのうえで相手の目をしっかり見て会話をする方が私には効果的でした。

そしてカミングアウトしたことで、意外と相手の人って私が吃音であることに気付かなかったり、気にしてなかったんだなということも分かりました。

 

この記事を読んで一人でも多くの方が少しずつでも吃音を気にしなくなり、自分らしさを表現できたら良いなと思います。

 

吃音での悩みや我慢していることを聞いてほしいというご依頼がありましたら、サイト内にお問い合わせフォームも用意しておりますので、いつでもメッセージを頂ければと思います。自分自身が体験してきたこと、この改善方法は失敗したなど体験したからこそ言える内容をお伝えできると思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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